2022年合格ガイド 巻頭特集 WEB版 ena新セミスタッフが行く!大学訪問記&私のキャンパスライフ
皆さんが将来の夢として思い描いている看護医療系の職業。それらはいずれも、人の命と健康に関わる大切な職業です。そのため、医療看護系の仕事に就けるのは「国家試験」に合格した人に限られています。そして、国家試験の受験資格を得るためには、養成課程を持つ学校で専門的な知識と技術を身につける必要があります。
ところで、「同じ国家試験受験資格を得られるなら、どの学校でも同じなのでは?」という質問を受けることがあります。
しかし、一口に養成課程と言っても、その学校によって特徴が大きく異なり、描ける将来像も変わってくるのが看護医療系の学校なのです。そこで、『合格ガイド』巻頭特集では、ena新セミのスタッフが大学を直撃取材。実際に看護医療系の学校に通っている先輩にインタビューしたり、大学の方にお話をうかがったりして、各学校の魅力を体感してきました。
順天堂大学
医療看護学部(浦安キャンパス)
1838年(天保9年)に設立の日本最古の西洋医学塾の流れをくむ順天堂大学。医療看護学部も、1896年(明治29年)に開設された看護婦養成所から126年という長きにわたり、伝統的な『仁』を基本とした教育を行ってきました。岩渕先生と、その教え子でもある池田先生のお二人を訪ねました。

教授 岩渕 和久先生・先任准教授 池田 恵先生 × ena新セミ 髙橋 智晴
「仁」の精神のもと 明るく人柄の良い学生たちが集う
岩渕
学内をご覧になってみて、いかがでしたか?
髙橋
キャンパス内ですれ違う学生さんが、みんな明るく挨拶をしてくれるのが気持ち良かったです。
岩渕
本学は創立以来、常に他者の気持ちを思いやり慈しむ「仁」の心を大切にしてきました。昔から、集まってくる学生にも、明るい性格で人柄の良い子が本当に多いです。これは本学の自慢の一つです。
池田
実は私は本学のOGで、しかも岩渕先生の教え子なのですが、在学中から学生の明るい雰囲気は変わらないですね。居心地の良い大学です。それから、教授陣の温かさと熱意も、伝統的に変わっていないと感じます。
看護師に加え、助産師や保健師なども目指せる
髙橋
学食でもちょっとしたスペースでも、いたるところで勉強をしている学生さんの姿が印象的でした。先ほどの助産師志望の学生さんたちも、熱心でしたね。
池田
試験前ということもありますが(笑)、しっかり勉強している子は多いです。助産師を目指している学生たちは、試験等で選抜された10名程度のメンバーなので、特に優秀で熱意があります。彼女たちは、間もなく始まる実習に向けて頑張っていましたね。
髙橋
看護師の国家試験受験資格に加えて、助産師や保健師も目指せるというのは強みですね。保護者の方が、熱心にこちらに進学させたがるでしょう。
池田
そうですね。助産師は、10例のお産を経験しなくては国家試験受験資格を得られないので選抜制ですが、保健師は希望すれば全員科目の履修が可能です。希望者全員が保健師の国家試験受験資格を得られるのは、千葉県内でも数校だけ。そのため、中央線沿線などから、1時間半以上かけてここに通ってくる学生も少なくないです。
髙橋
なるほど。しかも順天堂大学系列の附属病院への就職も多く、心強いですね。
岩渕
学生の8割以上が本学附属病院に就職しています。そこでの初めの3年も含め、本学において、言わば「7年一貫教育」を行う心算で、学生さんをお預かりしています。
髙橋
保護者の立場からは、安心感が違いますね。
池田
国家試験対策のサポート体制の手厚さにも自信があります。4年生の後期には補講がありますし、成績が振るわない学生にはマンツーマンで指導がなされています。
岩渕
国家試験対策の教員からは、正月返上も辞さないような熱意が感じられます。
最先端のICT環境も魅力
髙橋
人による指導が徹底してなされている一方で、CALL教室や中継授業のしくみ、シミュレーター、演習室のモニターなど、ICT環境も充実していますね。
岩渕
キャンパス内では自由に無線LANを使ってインターネットに接続できますし、CALL教室や図書館のPCを使ってレポートの作成や文献検索ができます。
池田

アクティブ・ラーニングにも力を入れています。どの教室にも人数分のレスポンス・アナライザーが用意してあり、学生の反応が即座に分かります。意見を求めたり理解度をはかったりしながら双方向で講義を進められるのです。また、各演習室や遠隔の他キャンパスと中継を結んでの同時授業や討論もできるようになっています。
入試では将来の医療者としての心構えが問われる
髙橋
非常に人気のある御校ですが、受験についてもお聞かせください。
岩渕
学校推薦型選抜でも一般選抜でも、全体的に、将来医療者となるための「『仁』に共感できるか」を重視しています。
池田
特に面接では人柄を重視します。「心根が基本」だと思っているので、極端な話、ペーパーテストが1番や2番でも、面接をして順天堂の求める人となりや感性と教養に合致しない場合には不合格になることもあります。
岩渕
一方で、文系からの受験にも門戸は開いています。看護師になりたいという想いがあるのなら、臆せずにチャレンジしてほしいですね。

母性看護実習室では、助産師を目指す学生たちが自主的に練習をしていました

在宅看護実習室の奥の和室で、担当する地域の地図や資料とにらめっこ

コンピュータを用いた双方向型の講義・演習や視聴覚実習が可能な教室

資料を机上に置きながらキーボードを打てるようになっています。新セミにも欲しい(笑)!(髙橋)

大勢の学生が熱心に勉強をしていました

1学年全員が一斉に学べる歴史ある階段教室。「私の学生時代は講堂で、戴帽式もここでやりました」(池田先生)

遠距離通学率が比較的高く、JR新浦安駅からキャンパスまでは自転車を利用している学生も多いので、駐輪スペースもたっぷり確保されています

髙橋先生の注目ポイント
順天堂大学には、全国に6つの医学部附属病院があり、それらの6病院すべてに看護臨床教員がいて、医療看護学部の学生の教育・指導にあたっています。看護の実践力を身につけられる体制で、この学校の強みですね。
学校情報
医療看護学部(浦安キャンパス)
住所 | 〒279-0023 千葉県浦安市高洲2-5-1 |
---|---|
電話 | 047-355-3111(代表) |
アクセス情報 | JR京葉線新浦安駅よりバスで5〜10分 10番系統 みなと南行 19番系統 高洲海浜公園行 「順天堂大学入口」下車徒歩2分 |
杏林大学
保健学部
「杏林」は中国の故事にちなみ、優れた医師を表す言葉です。杏林大学はその名の通り、医療系大学として1966年にスタートし、現在は総合大学として広く人のために尽くすことのできる人材の育成を教育理念に掲げています。今回は井の頭キャンパスを訪ね、保健学部の学びの特徴を教えていただきました。

保健学部理学療法学科 准教授村松 憲先生 × ena新セミ 手塚 愛
医学部付属病院と連携した最先端の学習環境と実践的な学び
村松
保健学部は、2023年の開設を目指して設置申請中のリハビリテーション学科※(理学療法学専攻・作業療法学専攻・言語聴覚療法学専攻)を含め、8学科で構成されます。同学科や臨床工学科、臨床検査技術学科、診療放射線技術学科の実習室を中心にご覧いただきましたが、学内の様子はいかがでしたか?
手塚
MRIや体外膜型人工肺「ECMO(エクモ)」などの高度な医療機器がそろい、学習環境がとても充実していますね。
村松
学内実習では、杏林大学医学部付属病院で実際に使用されていた医療機器を使用しています。実践的な学びを通じて専門性を高めてもらいたいとの思いから、できるだけ医療現場に近い環境を設けています。
手塚
確かに、実習室に入ると実際に病院の検査室や病室にいるような感覚になりました。このような環境で経験を積むことができれば、卒業後は即戦力として活躍できますね。
村松
そう期待しています。ただし、医療は日々進化しており、常に最新の医療知識や技術が必要とされます。その点、本学は付属病院があるため、現場に即した教育が可能です。午前中に患者さんの治療にあたっていた教員が、午後はその治療について学生たちに講義することもあります。1年次から付属病院で実習を行う学科もあり、高度な医療現場と連携した学びが保健学部の強みです。
「細胞検査士」の合格率100% 在学中に資格取得を目指せる
手塚
先ほど臨床工学科の実習室を案内していただきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、「ECMO(エクモ)」の運用管理を行う臨床工学技士は、注目を集める存在となりましたね。
村松
そうですね。本学科は東京初の臨床工学技士養成大学として開設されましたが、当時はあまり知られていない職種でした。近年、コロナ治療への貢献によって、認知度が一気に上がったように感じます。医療機器も高度化し、臨床工学技士の役割はますます大きくなると考えられます。学内に蓄積された豊富なノウハウを活かし、工学と医学の知識を併せ持ったプロフェッショナルな技術者を育成していきます。
手塚
臨床検査技術学科の実習室も興味深かったです。さまざまな薬品や顕微鏡などを駆使して、ミクロ単位の精密な作業を行うのですね。
村松
人体から摘出した細胞や組織を調べ、病気の診断やデータの採集をするのが臨床検査技師です。正確かつ迅速に診断する技術を身につけるには、実際に手を動かすことが大切なので、顕微鏡は1人1台の割合で用意しています。また、選択制になりますが、顕微鏡を用いて正常な細胞の中からがん細胞を探し出す「細胞検査士」の受験資格を取得することも可能です。在学中にこの資格を取得できる大学は、関東地方に数校しかありません。しかも、最近3年間の合格率が100%であることは、志の高い学生が多いことの表れだと思っています。
文系科目も含めた総合大学の魅力 多様な価値観に触れることができる
手塚
保健学部には多様な医療系の学科・専攻がありますが、同じキャンパスで学ぶことのメリットはどのような点ですか?
村松
私の専門は理学療法ですが、例えば運動の効果を知りたいとき、作業療法や理学療法の分野では主に体の動きの変化を調べます。多様な学科・専攻を擁する保健学部では、他学科との連携によってMRIを用いて脳を調べたり、遺伝子を分析したりとさまざまなアプローチが可能です。医療分野の垣根を越えて、難易度の高い研究に取り組めることは大きなメリットです。それに、現代医療では多職種が連携して患者さんの治療にあたる「チーム医療」が欠かせません。その中で自分がどのような役割を担うべきかといった判断力や、コミュニケーション能力も自然に育まれます。
手塚
井の頭キャンパスには、医療系の学部だけでなく、外国語学部、総合政策学部の文系2学部もありますね。
村松
学生が一緒に講義を受ける機会はありませんが、サークル活動や文化祭などを通じて交流しているようです。英語しか使用できないサロンもあって、英語を学習するために学部や学科を問わずに集まっています。多くの人と関わることで多様な価値観に触れることができ、互いに学ぶこともあるでしょう。医療分野に限らず、新しく何かを始めたいと思ったときに、それに応えてくれるリソースがあるのも総合大学の良さです。医療人である前に、人としての幅や可能性を広げてほしいと思っています。
※現在は理学療法学科・作業療法学科

顕微鏡で細胞を見る際など薬品を使用する機会が多いため、排気システムを完備しています

臨床検査技師にとって顕微鏡は必須アイテム。学生が1台ずつ使用できるよう、十分な台数が用意されています

5人同時に観察することが可能な顕微鏡もあります

(診療放射線技術学科)
診療放射線技術学科の授業では、体に電磁波をあてて断層撮影をする「MRI」や「CT」なども使用しています

(診療放射線技術学科)
乳がんを発見するための検査機器もあります。実物を使い、操作方法や患者さんへの接し方を学びます

「ECMO(エクモ)」や人工呼吸器など新型コロナウイルスの治療で目にするようになった医療機器も。高度な医療機器を駆使する技術や知識を学びます


(理学療法学科※)
理学療法を学ぶ授業で使用。脳に外側から刺激を与え、強制的に運動を生じさせることが可能な装置などがあります

実習室(作業療法学科)
陶芸の作品を焼くための窯など、作業療法のための本格的な設備が整っています。革細工、銅板細工などもできて、手を動かして作業に没頭することが症状の改善に役立つそうです
手塚先生の注目ポイント
実学重視のカリキュラムや、総合大学の強みを活かし学部を超えた「横のつながり」は、杏林大学ならでは。教科書を見て覚えるだけでは身につかない、真の学びが得られると感じました。
学校情報
井の頭キャンパス(保健学部、総合政策学部、外国語学部)
住所 | 〒181-8612 東京都三鷹市下連雀5-4-1 |
---|---|
電話 | 0422-47-8000(代表) |
アクセス情報 | JR中央線・総武線「三鷹」駅よりバス15分、JR中央線・総武線・京王井の頭線「吉祥寺」駅よりバス15分 |
埼玉県立大学
「保健医療福祉に関する教育・研究の中核となって地域社会に貢献」をミッションとする埼玉県立大学。1999年度のグッドデザイン賞施設部門金賞を受賞したキャンパスは美しいだけでなく、医療を学ぶのに最適な環境です。国家試験の合格率も全国平均より高いのはもちろん、手厚い学生・就職支援体制のもと、学生達を全面的にバックアップしてくれる指導力が光ります。

看護学科 教授鈴木 玲子先生 × ena新セミ 髙橋 智晴
ヒューマンケア実習室をリニューアル! さらに進展する「専門職連携教育」
髙橋
リニューアルされたヒューマンケア実習室を拝見して、驚きました。看護師の実習設備だけでなく、理学療法士など他職種のための設備も充実していますね。
鈴木
医療と保健行政や福祉が連携し、各地域に住む人の健康のために貢献することが求められる時代となったため、看護師を目指す学生も他職種の志望者とともに学ばなくてはなりません。そうしたニーズに応じて施設・設備も整備してきました。例えば、看護学科の学生も在宅療養者が使用している機器について基礎的な知識を身につける…そんな教育環境を目指しています。
髙橋
医療職、福祉職といってもさまざまな職種がありますが、どのような体制でともに学んでいますか?
鈴木
埼玉県立大学では全5学科が一堂に会して学ぶ体制を築いています。「IPE」(Interprofessional Education)、または「専門職連携教育」の名で、違った学科の学生と行動する機会を設けています。本年度新しい教科書も作成しました。本学の教員の約半数が執筆者として参加しています。
髙橋
医療へのニーズが変化するなかで、どの学科の学生にも知ってほしい知識は広がりつつありますよね。
鈴木
取り組みの成果はしっかりと表れていて、卒業生が他職種の仕事内容を当たり前のこととして把握しています。地域医療の現場では、ケアが必要な方に対して、さまざまな職種が違った視点に立ちながら関わっていきます。卒業後すぐに活躍できる資質を在学中に伸ばしていきたいと考えています。
ペーパーレス化が生む「授業への参加意識」 ICT活用で刺激的な学び
髙橋
コロナ禍により、大学を取り巻く状況は大きく変わりました。埼玉県立大学でも教育環境に変化はありましたか。
鈴木
ICTの活用が大幅に進んでいます。特に授業のペーパーレス化が顕著です。授業前に資料を提供できるので、学生が学びに向かうまでのプロセスが簡略化されてきました。
髙橋
教育界全体で電子化が一気に進んでいますが、埼玉県立大学も変化しつつあるのですね。
鈴木
電子化で一番大きいのは「授業が双方向的になったこと」かもしれません。教員の問いかけに学生が手元の機器を通して回答するという仕組みで、たくさんの意見を集めてディスカッションすることも可能になりました。
髙橋
そうなると「授業に参加している」という実感が生まれますよね。
鈴木
こちらも学生を指名しやすくなりますし、学生も挙手して発言するハードルが下がったようです。ワイワイした雰囲気になりますね。反応が大きいため、教員側も発問が練りやすくなりました。
髙橋
学生がともに学ぶ姿勢への影響もありますか。
鈴木
学生にとって、ほかの学生の意見や考え方に触れるのはとても刺激になるようです。例えば130人を対象にした講義なら、それだけ広く視野を広げられる。ICT活用による大きな成果です。
髙橋
医療現場に出てからもICTで医療について学んだ経験は活かせそうですね。
鈴木
電子カルテを基にした事例学習も実践しています。医療現場の電子化にも対応していきたいです。
多様な就職ニーズをサポート 地域医療をリードする埼玉県立大学
髙橋
埼玉県立大学の教育活動は本当に現場を見据えて組み立てられていると感じました。卒業生たちが目覚ましい活躍をしている背景が分かった気がします。
鈴木
求人は東京都心の方が多いのですが、県内に就職する卒業生が多くいます。その理由として、県立病院や民間病院への推薦枠があるということが挙げられますが、キャリアセンターで綿密な指導を行ってきた成果とも言えるでしょう。本学には就職のプロフェッショナルと面接や集団討論の実践練習ができる環境があるんです。
髙橋
県内の助産師、保健師にも埼玉県立大学の卒業生が多いですが、多様な就職ニーズに応えているからこそなのですね。
鈴木
看護職は「病院で働く」というイメージに囚われず、地域で生活する住民を支援するように視野を広げて就職をサポートしていきたいと思っています。
髙橋
県内各地でそれぞれに卒業生が活躍していることは、大学の教育活動にもプラスに働きますよね。
鈴木
卒業生の勤務先が、在校生の実習先であることも多く、現場の皆さんが埼玉県立大学に信頼を寄せてくださっていることを感じています。
髙橋
これからも埼玉県立大学は県内の地域医療をリードしていっていただきたいです。そう願っています。

(左から)髙橋先生、東口晴菜先生(看護学科助手)、鈴木玲子先生(看護学科教授)

就職サポートのプロフェッショナルが常駐。どんなご相談もお任せください

患者の容体を再現する最新式の機器を採用。あらゆる場が可能です

ヒューマンケア実習室には高齢者のケアに関する多彩な設備が!地域医療のニーズに応えます

入院時の高齢者のケアに必要な設備が充実。わずかな頬の動きで意思疎通ができる機器などが揃っています

電子化が進む医療現場。PCに慣れ親しむことが欠かせません

実習室
リニューアルで浴槽の手すりが細かく調整できる仕様に

髙橋先生の注目ポイント
公立大学ならではの広大なキャンパスには洗練された施設・設備が整っています。TVドラマの撮影場所になることもあるそうです。埼玉県立大学でなら、恵まれた環境で将来を見据えて学ぶことができますよ。
学校情報
住所 | 〒343-8540 埼玉県越谷市三野宮820番地 |
---|---|
電話 | 048-973-4117(入試担当直通) |
アクセス情報 | 東武スカイツリーライン「せんげん台」駅よりバス5分(徒歩20分) |
聖路加国際大学
看護学部
1920年、ルドルフ・B・トイスラーによって聖路加病院を母体に創立された聖路加国際大学。隣接する聖路加国際病院と教育・研究・実践において強く連携し、世界水準の看護教育を実現しています。私立大学として日本で初めて看護学部を設置した名門校・聖路加国際大学では、どのような教育が行われているのか、お話をうかがいました。

聖路加国際大学大学院 看護学研究科
ニューロサイエンス看護学准教授 大久保 暢子先生 × ena新セミ 水島 愛香
看護の視点から人体の構造と機能を学ぶ 他校にはない「現場志向の授業」
水島
聖路加といえば、人体の構造と機能を学ぶ「形態機能学」がとても充実していることが他大学では見られない特色ですね。
大久保
「形態機能学」は看護学部では医師がゲスト講師として教える分野ですが、本学では看護学の教員が指導してきました。というのも、人体に関する知識を看護ケアと結びつけて理解してもらうことが必要だからです。
水島
看護学の先生が指導することで講義の内容はどう変わりますか。
大久保
歩く、食べる…そうした日常生活の動作を患者は病気を持つことでどのように障がいされるのか、どのように回復していくかという視点を持ちながら、人体について学ぶことができるようになります。また、医学部に相当する7週間の解剖実習も実施しています。これまで、文部科学省や看護系大学の先生などたくさんの方々も視察に来ていただきました。
水島
国家試験では解剖生理学の分野で問われる内容になると思いますが、学生の皆さんの実績はいかがですか?
大久保
本学の学生は解剖生理学が得意です。一般的に「ケアにどう活かせるか分からない」「苦手意識が生まれた」という看護学生が多い分野ですが、力を入れている成果がハッキリ表れています。
水島
聖路加国際大学の独自性を強く感じます。
大久保
本学は「現場で活躍できる看護師を育てたい」という思いで、教育内容全体を組み立てています。付属の病院とともに検討して指導内容を決めることで座学と実習に乖離がなくつながり、卒業生が臨床の現場に入っていけるよう工夫しています。
グローバル教育は創立以来の伝統 着実な指導で段階的に英語力アップ
水島
受験生に聖路加国際大学を志望する理由を聞くと「英語力を身につけたい」という答えが返ってくることが多いです。
大久保
グローバル人材を育てることも本学の重点的な目標の一つです。アメリカから日本を訪れた宣教医師が創立に関わったということもあり、カルテを英語で書く訓練も伝統的に続けられてきました。
水島
日本でグローバル化が謳われるようになる以前から、国際教育を実践していたのですね。
大久保
看護師を目指す学生には、国境を越えて人を大切にするという精神を持ってほしいんです。どこの国の人がどんな病で倒れてもケアできるというのが看護師の理想像だと考えています。
水島
聖路加国際大学のグローバル教育はどのように進むのですか。
大久保
①「外国人との国際交流」②「英語のプレゼンテーションに挑戦」③「自分の目指す看護を英語で語る」④「外国を訪問する」――の4つの方法論で、最初は英語が苦手だった学生が成長できるようにシステムを構築しています。単位数は英文学を学ぶ大学生とほぼ同じくらいです。
水島
授業時間が多くて、着実な指導が期待できますね。
大久保
大学入学前の英語力は、どうしてもそれまでの教育環境に左右されます。私たちは入学後の4年間でどれだけ伸ばせるかを大切にしています。もともと英語が喋れる学生は自然と海外に行くものです。でも、海外に行く勇気がないという学生にこそ、英語力を伸ばして、日本の外を見てほしいんです。
水島
入学前の英語力は、たしかに教育環境、ひいては家庭の経済環境に大きく影響を受けますね。
大久保
私立大学として、「入学生は全員平等に、できるだけ不便をかけない」という姿勢はとても重要だと思います。英語のハードルを低い目標から着実に指導していくのもそうした理由があります。ご実家が災害にあった際の支援金制度を設けていますし、無料の食堂開放などにも取り組んできました。
価値観を広げるため「社会貢献の実践授業」 看護の専門性とともに人間力も育つ
水島
聖路加国際大学のボランティア体験などに挑む「サービスラーニング」について、気になる受験生が多いようです。
大久保
実は、この科目の開講に積極的に取り組みました。
水島
そうだったんですね!どのような経緯で開講したのですか?
大久保
聖路加看護大学から聖路加国際大学に変わるタイミングもあり、グローバル教育を真に強化する目的で始めました。グローバル人材は英語が話せるだけでなく、「多様な価値観を持って多様な人を受け入れられる」心構えが欠かせません。看護の現場に立つうえでも、ケアを提供して豊かな人生を送ってもらう前提になる資質であると思います。
水島
授業を通して、学生はどんな変化を遂げますか。
大久保
中高一貫校でみんな同じ価値観で過ごしてきたという学生も視野が広がります。「社会貢献したい」という意欲も「自分が多様な人間の中の一人なんだ」という気づきを伴ったものに変わります。
水島
聖路加国際大学は看護の専門性だけでなく、人間力も身につけられる大学なのだと改めて知りました。

ティーチングアシスタント(T.A.)とリサーチアシスタント(R.A.)の院生が、臓器を前に学生たちを指導

学生たちは臓器のスケッチをして体の仕組みを覚えます

毎週水曜日の昼休みにチャペルアワーを開催。チャペルアワーでは礼拝、聖歌隊サークルや有志のチームによる合唱の鑑賞、オルガン演奏体験ツアー、チャペル探検ツアー、そして聖書劇の観劇などを学生委員が中心となり企画・運営しています。また、卒業式(礼拝)もチャペルで行われます
※現在は耐震・改修工事のため立入禁止

2010年1月に創立90周年を記念して開設されました。写真およびケース展示により創立から現在までの歴史の流れを紹介しているスペースです。歴史展示室の写真を撮って待ち受けにすると、合格するとのジンクスが。説明会などに参加される受験生は、写真を撮ることをおすすめします

図書館では、もうすぐスタートする臓器実習に向けて「形態機能学」フェアを実施中でした。上級生が黒板にメッセージを書き、1年生の参考になる本をセレクトして紹介。学年を超えた学生の絆が感じられます。図書館は24時間利用可能で、自動貸出機も設置しています

お話をうかがった看護学研究科ニューロサイエンス看護学教授の大久保暢子先生

社会貢献を実践する授業「サービスラーニング」は、児童福祉施設や高齢者福祉施設などを訪問。たくさんの出会いを通して、人の多様性との向き合い方を考えます。看護師の倫理観を磨く時間です

多彩な留学プログラムもご注目いただきたいポイント。海外の看護系の教育施設を訪れ、現地の学生は看護をどのように学んでいるかを知り、視野がグッと広がります。「英語に慣れる」だけではないグローバルな体験が皆さんを待っています

水島先生の注目ポイント
ホワイトボードのパーテーションには、マーカーとイレーザーが完備。学生が自主的に使いたくなる仕掛けに感動。きめ細やかな学習への配慮が、自主性に長けた学生を育んでいると実感しました。
学校情報
住所 | 〒104-0044 東京都中央区明石町10-1 |
---|---|
電話 | 03-5550-2347(入試事務室) |
アクセス情報 | 東京メトロ日比谷線「築地」駅より徒歩3分、 東京メトロ有楽町線「新富町」駅より徒歩5分 |
東京女子医科大学
看護学部
1900年、吉岡彌生によって創設された東京女醫學校を前身とする東京女子医科大学。医学部、看護学部を擁する国内唯一の女子医科大学として、高い知識・技能と病者を癒す心を持つ女性医療人の育成を目指しています。看護学部は1998年に開設され、4年間を通じ河田町キャンパスの新校舎で学びます。卒業生でもある看護学部の飯塚幸恵先生に学内を案内していただき、同学部の教育の特色についてお話をうかがいました。

講師 飯塚 幸恵先生 × ena新セミ 髙橋 智晴
最先端の学びが得られる新校舎 学生の心身へのサポート体制も充実
髙橋
2020年4月に完成した彌生記念教育棟は医看融合がコンセプトになっているとうかがいました。
飯塚
はい。超高齢化社会の進展や医療の高度化など社会の変化に対応できる質の高い看護には、チーム医療が欠かせません。そこで、医看融合のコンセプトの下、彌生記念教育棟が医学部と看護学部の協働教育の場として建設されました。学部同士の交流を通して、より広い視野に立って思考し、最善な医療を実践することができる自立した女性医療人を育成しております。
髙橋
次世代の医療を担う人材の育成に尽力されているのですね。学内を回らせていただきましたが、目を引く施設や設備が多くありました。中でも在宅看護実習室は、講義を受ける座席を囲むように畳敷きの和室、浴室、トイレがワンフロアに配されていて、細部へのこだわりを感じました。動線に無駄がなく、講義で学んだことをすぐ実践することができ、より深く知識と技術を定着させることができますね。
飯塚
看護実習室は教員が学生全員の様子を確認できるように、ベッドの配置を工夫しています。また学ぶ環境を整えるだけでなく、学生たちの健康管理も大事な役割であり、学内には保健管理センター学生健康管理室があります。コロナ禍にあっても安心して学び、有意義な学生生活を送れるように活動しています。
髙橋
なるほど。健康面にも心を配って学生さんを全面的にバックアップする体制が、高い国家試験合格率につながっているのですね。
臨地実習では教員がきめ細かに指導 質の高い看護知識と技術が身につく
髙橋
飯塚先生もこちらの卒業生とうかがいましたが、キャンパスの敷地内には附属病院や研究施設があり、学生さんたちは日々、刺激を受けながら学ばれているのではないでしょうか?
飯塚
東京女子医科大学病院(本院)が隣接するほか、敷地内に早稲田大学と連携して研究を行う先端生命医科学研究所(TWIns)、総合医科学研究所などがあります。最先端の医療、研究を身近に触れられます。また、本院のほかに附属八千代医療センター、附属足立医療センター、附属成人医学センター、附属東洋医学研究所など充実した実習施設を整えています。
髙橋
病院実習の際には特に、附属病院があることのメリットが大きいですよね?
飯塚
はい。学生は臨地実習で、講義で学んだことと実際の臨床現場の違いに戸惑いを感じることがあります。そのため、本学では、講義で学んだことを臨床現場でどのように活かせばよいかを学生と教員がともに考え、実施するという、きめ細かい指導を行っています。また、附属病院では卒業生による豊かな臨床経験に基づく指導も行われています。卒業生が実際に働く姿をみたり、指導を受けたりすることで、看護師としての将来像も描きやすく、モチベーションが高まるようです。
髙橋
先生たちが授業と実習現場の橋渡しのような役割をされるのですね。
飯塚
はい、学年や実習内容によっても学生に対する教員の指導方法を変えるようにしています。臨地実習の始まりのころは、患者様へのケアや対応に教員もともに関わりますが、学年が進むと主体的な学びを大切にしていますので、困ったときの相談や支援にとどめています。さまざまな経験を積み重ね、質の高い看護の知識と技術を身につけ、成長してもらいたいと思っています。
生涯にわたって看護キャリアを支援 卒業後も大学に戻り助産師を目指せる
髙橋
進路の相談を受ける際、最近は看護師と助産師、両方の資格を取りたいという声をよく聞きます。
飯塚
本学では、卒業後に大学院に進学し、看護をより深く探究しながら助産師国家試験受験資格も取得する学生がいます。また、卒業後就職し、臨床経験を重ねてから、再び学びに戻ってくる学生も多くいます。附属病院には3つの周産期センターがあり、実習は充実しています。また、学内には女性医療人キャリア形成センターが置かれ、生涯を通しキャリアを積み重ねていけるような取り組みを行っています。
髙橋
大学卒業後はやはり、附属病院の看護師として勤務される学生さんが多いのでしょうか?
飯塚
多くの学生が附属病院の看護師として就職していますが、4年間で所定の単位を取得すると、保健師として活躍することもできます。また、大学院に進学すると、特定の分野に精通した専門看護師やナースプラクティショナーの資格を取得することもできます。ここで学ぶ学生には看護の専門的な知識や技術だけではなく、誠実さや人を慈しむ心、自立、そういったものを身につけた女性医療人になってほしいと願っています。女性はライフステージが変わることで働き方にも変化が求められがちですが、それぞれの多様な働き方や人生を、大学をあげて応援しています。

講義で学んだことをすぐに同じフロアの実習スペースで実践。実習で感じたことの記憶が新しいうちにすぐに着席して振り返りとまとめ。在宅看護実習室では、そのサイクルが無理なく実現でき、より深く知識と技術を定着させることができます

各ベッドの床頭台まで病棟そのままに再現された看護実習室。学生4人に1台のベッドが確保されています

およそ9万5000冊の蔵書を誇る図書館。グループ学習室なども配備され、ガラス張りの開放的な空間です

利用する際には、感染予防のために白衣を入り口のラックにかけます

2つの席の間のモニターに映像講義を映すことも。ここでレポート作成もできます


1階のエントランスを入るとまず目につくのが吉岡彌生先生の功績をまとめた展示室。学生の学習意欲も上がります

家庭の味を大切にしたメニューが揃うおしゃれなカフェテリア。テイクアウトもできます。感染予防のためのパーテーションがついたことで自習に使う学生も多いそうです

髙橋先生の注目ポイント
対面での講義を行う教室は、座席をパーテーションで区切っているのはもちろん、学生一人ひとりの座る場所も指定。万が一新型コロナの感染者が出た場合にも、接触者を特定し、最速で対処できる体制です。
学校情報
河田町キャンパス 医学部、看護学部
住所 | 〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1 |
---|---|
電話 | 03-3357-4801(看護学部学務課直通) |
アクセス情報 | 都営大江戸線「若松河田」駅より徒歩5分、都営新宿線「曙橋」駅より徒歩8分ほか |
日本赤十字看護大学
さいたま看護学部
開学から3年目を迎え2023年春には全学年が揃う日本赤十字看護大学さいたま看護学部。赤十字の掲げる「人道(Humanity)」の理念のもと、「一人ひとりを大切にする」教育を実践。国際医療や災害時に活躍する高度医療の担い手とともに、地域の福祉や看護に貢献する人材の育成を目指しています。

成人看護学 准教授仁昌寺 貴子先生 × ena新セミ 小松 あゆみ
赤十字の掲げる「人道」を理念とし一人ひとりを大切にする教育を実践
小松
少子高齢化社会が進む中、新型コロナウイルスの流行もあって、社会や医療を取り巻く環境はめまぐるしく変化しています。医療はさらに重要性を増していく分野だと思われますが、これからどのような看護者を育てたいと考えていますか?
仁昌寺
日本赤十字看護大学は「人道(Humanity)」を理念としています。「人道」という言葉を聞くと少し難しく感じるかもしれませんが、病気になったときや災害が起きたときなど、どのような状況にあっても一人ひとりを大切にし、人間の尊厳を守るために行動をするという考え方です。本学部はこれにもとづき「人道の実現に向けて努力する人間を育てる」ことを教育理念としています。
小松
校内を一緒に回らせていただき、先生方の学生さんへの接し方にも「一人ひとりを大切に」という思いを感じました。
仁昌寺
看護技術演習では少人数制を採用しています。学生4名で1グループとし、2グループごとに教員が1人付くようにし、一人ひとりの理解を確かめながら進めています。担任制を導入しているので、学習面だけでなく生活面や進路についても全面的にサポートしています。また、学生には日頃から「ケアされる経験を大切にしてください」と伝えています。自分がケアを受けて癒されたと感じる経験は、その後ケアする側になったときに、患者さんを中心に考えた看護を提供することにつながると思っています。
国内外の経験豊富な教員から災害看護や国際看護が学べる
小松
赤十字は国内外で災害救護や支援活動に取り組んでいますが、大学のカリキュラムに取り入れていることはありますか?
仁昌寺
1年次から「災害看護学」が必修科目になっています。国内外の被災地で活動してきた経験豊富な教員が指導にあたっています。災害発生直後を想定して救護用のテントを立てるところからはじめるなど、実践を多く取り入れ、臨場感のある授業を行っています。将来は災害看護に関わりたいと入学してくる学生が東日本大震災後より多くなり、災害救護ボランティアサークルの活動も盛んで、意識の高い学生が多いと感じます。
小松
国際看護のカリキュラムも充実している印象があります。
仁昌寺
国際活動は赤十字が大切にしていることの一つです。海外に行って学ぶことはコロナの影響で難しいのですが、スウェーデンやスイスに交換留学の協定を結んでいる大学がありますので、状況が落ち着いたら交流を活発化していきたいと考えています。その反面、コロナ禍だからこそ学べることもあると考えています。一例として、オンラインを活用してインドネシアの赤十字病院とつなぎ、コロナ治療の現状を共有したり、ディスカッションしたりする授業を行いました。インドネシアで救援活動を行った教員がいたこともあって授業が実現したのですが、赤十字には組織的にも人的にも豊富な国際ネットワークがあります。学生にはこのネットワークを活用して世界へ視野を広げてもらいたいです。
「コミュニティケア」に取り組み地域住民の健康に貢献する看護者を育成
小松
世界に目を向ける一方で、地域に根差した看護教育に取り組まれているのもさいたま看護学部の特徴だと感じます。
仁昌寺
はい、この地域は高齢化率が高く、医療の担い手が不足しているという問題があります。本学部をつくる際のコンセプトにも、地域の福祉や健康に貢献するということがありました。そこで、地域での生活に援助が必要な人や家族をサポートする「コミュニティケア」を学べる科目を置きました。1年次から授業があり、2年次には子ども食堂や認知症カフェ、多生児の親たちが集まる育児グループなど15か所に分かれて、フィールドワークを行います。疾患のある人だけでなく、地域のさまざまな立場の人たちと関わり、心と体の健康をサポートする方法を学習します。子ども食堂で出会った高校生が大学の説明会に参加してくれたこともあり、学生が学びを得るだけでなく、学部の存在自体が住民の皆さんに身近になっているのをうれしく感じました。
小松
地域に開かれたキャンパスであることは、校舎のデザインからも伝わってきます。
仁昌寺
2021年に完成した別館は「つながり」がコンセプトになっています。外観をガラス張りにして開放感を持たせ、地域の人たちと交流ができるようにつくられた部屋もあります。今後、地域との連携をさらに深めながら、地域医療にも貢献できる人材を輩出していきたいと考えています。

本館の隣にあり、ガラス張りの洗練された建物。ほかの教室同様、授業などで使用しないときは開放されます

授業に取り入れているアクティブラーニングに特化した教室。いろいろな形を作ることができる机が特徴で、話し合いがしやすいよう人数によって配置を変えることが可能

学生ラウンジは各階にあり、授業の合間にゆったり過ごせるようソファーが置かれています。天井は吹抜になっているので開放感があります

授業やイベントのほか、講演会でも使用でき、約180人を収容できます。室内にカメラが付いていて、ほかの講義室へサテライト中継も可能です

本棚は高さを抑え、手に取りやすくなっています。1人で自習を行うときやグループ学習にも利用できるよう、空間や机の配置を工夫しています

実習室には病室と同じようにベッドが配置され、学生4名で1つのベッドを使用し、現場ですぐに役立つ実践力を鍛えます


壁一面のホワイトボードは、議論の際にそれぞれの考えを書きだしたり、図式化して分かりやすく伝えたり、アイデアを共有できると学生に好評です


技術演習に入る前にレクチャーを受ける様子。内容をしっかり理解してから演習に取り組みます
小松先生の注目ポイント
アクティブラーニングに特化した教室や、壁一面がホワイトボードのグループ学習室など、多様な学び方が実現できる仕掛けが随所に見られました。その中で学生さんが生き生きと学んでいるのが印象的でした。
学校情報
さいたま看護学部(大宮キャンパス)
住所 | 〒338-0001 埼玉県さいたま市中央区上落合8-7-19 |
---|---|
電話 | 048-799-2747(入試広報) |
アクセス情報 | JR各線・埼玉新都市交通伊奈線・東武野田線「大宮」駅より徒歩10分 |
神奈川工科大学
神奈川県厚木市に位置し、工学部、創造工学部、応用バイオ科学部、情報学部、健康医療科学部の5学部を設置する神奈川工科大学。理工系大学の利点を活かし、国家資格取得+αの教育と研究を展開しています。現場を見据えた実践的な内容の授業は大きな気づきを得られると評判です。


実習に挑む自信が生まれる理由は 「手厚い指導と現場志向の学び」
健康医療科学部
看護学科(看護師・保健師養成課程)3年 玉木 桃子 先輩
きっかけは中学校での養護教諭との出会い 看護を学ぶなかで、新しい目標に気づく
医療職を目指すきっかけは中学校で養護教諭の先生に相談に乗っていただいたことです。当時、部活動と勉強の両立について悩んでいた私の話を親身になって聞いてくださって、とても励みになりました。看護学科で保健師免許を取得して、養護教諭になる道もあると知り、神奈川工科大学を選びました。精神的な面からも、身体的な面からも子どもたちの悩みが解決できるようサポートしたいという思いでした。
今の目標は看護師として「患者さんの一番そばで回復をサポートする」役割を果たすことです。大学での勉強を通して、看護師の魅力を詳しく知るなかで、病院に勤務したいという気持ちも大きくなってきました。神奈川工科大学は付属の病院がないため、県内のたくさんの病院と連携しています。いろいろな現場を訪れながら、看護師の働き方について詳しく理解できる環境です。
「患者の性格を念頭に置いたケア」「医療機器の専門知識」など幅広い学び
神奈川工科大学の教育理念は「考えて行動する人材の育成」。授業中も受け身でいるのではなく、問題解決のためにどうしたらいいのかを自分で考え出すことに取り組みます。きっと将来に活かせる力が身につく。そう実感できます。
例えば、3年生の「実践総合演習(OSCE)」は、患者さんを生身の人間として捉え、どう接するかをテーマに考察・ロールプレイをするという内容でした。「安静にしていないといけない患者さんが出歩いてしまった場合、どう声をかけるか」といった答えのない問いに向き合い、実習に挑む自信が生まれました。グループワークや先生との対話を通して、視野が広がったと思います。
このほかにも「工学系の大学である」ことが自分の勉強にプラスに働いたと思います。臨床工学科の先生に医療機器について習う授業があり、看護師として機器をどう取り扱うか理解できるようになってきました。
授業内容と同様に、授業外の学習サポートもとても充実しています。神奈川工科大学には「クラス担任制」があって、看護学科では学生20人に対し、先生1人が主な相談相手になる仕組みがあるんです。国家試験に向けた勉強も1年生から始まるので、学習について何でも聞ける先生がいて、本当に頼りになります。
学習に力を入れられる環境があると、モチベーションも高く保てます。看護学科は幅広い分野を学ぶため、計画的にバランス良く勉強する必要があります。国家試験に向けてはどの科目も落とせないからです。そういう面でとても大変ですが、先生や友人のおかげもあって、ここまでくることができました。
2020年夏の集中授業で「大学生になった自覚」
日頃の学習の成果が表れるのが実習です。1年生では医療現場で看護師さんの後をついて回るシャドウイングでしたが、2年生では患者さんを受け持って、回復に向けてサポートしていくことに挑戦します。教科書に載っていない患者さんの性格に合わせた声のかけ方など、これまでのロールプレイの経験が活かせました。
ここまでの学生生活を振り返ってみると、新型コロナウイルスの影響で大学に行けないという状況で、大学生になったという自覚がないところからのスタートでした。でも、大学側から手厚いサポートを受けて、しっかりと学習を進められたと思います。1年生の夏休みに2週間の日程で看護技術を集中的に学ぶ時間があり、そこで初めて「看護学生になったんだ」という強い実感が生まれたことを覚えています。ハッキリと気持ちの区切りがつくきっかけでした。
受験でグループディスカッション 看護師の資質を見極める試験
受験生時代については、もともと文系だったこともあって、国語・英語・理科1科目を受験教科に選んで、一般入試に向けて準備をしつつ、総合型選抜も併用しました。結果的に総合型選抜で合格できたのですが、なかなかユニークな受験方法だったと思います。
私が挑戦した総合型選抜(適性評価方式)にはグループディスカッションがあり、初対面の受験生同士で医療に関するテーマについて、議論するという試験がありました。先生が司会進行をするわけでもないので、自分たちで協力して話し合いを進めていかなくてはなりません。そして最終的には全員で出し合った意見をまとめて、1つの結論を出すという難しい内容でした。
そのときに気づいたのは、人の意見をまずは素直に受け止めて、さらに自分の考えをプラスしていくという方向で発言すると建設的な話し合いになるということでした。総合型選抜で挑戦しようという方には、積極的に発言する勇気を持っていただきたいです。そして、他の人の意見で参考にできそうなところはないか注意してみてください。きっと自分にはない視点が得られるはずです。
全国から集まる学生とともに同じ目標に向かう日々
入学後も学生同士で協力し合うことは欠かせません。神奈川工科大学の学生はみんな穏やかで、優しいし、お互いに分からないことがあれば切磋琢磨して乗り越えようとする…そんな学生たちです。「国家試験合格」という同じ目標を持っているので、お互いに協力していこうという雰囲気がありますね。出身地は学年の半分くらいは神奈川県ですが、ほかはみんなバラバラで全国から学生が集まっています。それぞれ違ったバックボーンを持つ者同士が仲良くなっていくので、いろいろな気づきがあります。
今、私が力を入れているのは「将来の幅を広げること」。看護師の資格取得と同時に、保健師の資格取得に向けた勉強にも取り組んでいます。看護師の実習が終わると、保健師の実習に向かうという忙しい毎日です。でも、自分の一生を考えると、働けるうちに精一杯働きたいと思います。そして、今はそのためにできることをしたいです。生まれ育った神奈川県に恩返しをするというのが社会に出てからの目標です。一人ひとりの患者さんを理解しようとするなかで、「きっと看護師は人を好きになれる仕事なんだな」と気づきました。受験生の方と将来もし一緒に働くことがあればとてもうれしいです。

図書館にはプレゼンテーションやミーティングができるActive LearningRoomや、ディスカッションが可能なラーニングコモンズなどのスペースもあります


授業参考図書が学科ごとに配置してあるので、課題やレポート作成の際によく活用しています

看護医療棟には4つの実習室とこれをサポートする準備室、個別演習室があり豊富な実習を通して看護実践力を磨いています



キャンパス内には2つの学生食堂があります。手頃な値段で豊富なメニューが揃います。また、学内にマクドナルドもあり人気です!
学校情報
住所 | 〒243-0292 神奈川県厚木市下荻野1030 |
---|---|
電話 | 046-291-3002(企画入学課) |
アクセス情報 | 小田急線「本厚木」駅よりバス25分 |
東京工科大学
広大な八王子キャンパスと都心型の蒲田キャンパスを有する東京工科大学。駅徒歩2分の蒲田キャンパスには医療保健学部(リハビリテーション学科[言語聴覚学専攻/理学療法学専攻/作業療法学専攻]、看護学科、臨床工学科、臨床検査学科)とデザイン学部の学生が通います。医療保健学部で作業療法士を目指す先輩に、専門分野の学びや環境についてうかがいました。


2度のオープンキャンパス参加で入学を決意 患者さんの一生を支える作業療法士を目指す
医療保健学部作業療法学科3年(※)井上 紗菜 先輩
(※)2021年4月よりリハビリテーション学科 作業療法学専攻
好立地・高い国家試験合格率・明るい在校生 オープンキャンパスで知った大学の魅力
医療系への進学を決めたのは高3の春頃です。理系を選択していたことから医療系の学校のオープンキャンパスに参加したところ、ある学校の先生が「作業療法士は患者さんの一生に関わり、その人が望む生活が送れるように支援する役割を持つ」とおっしゃって、その言葉に感銘を受けて作業療法士を目指すようになりました。
私は、通っていた高校から指定校推薦で進学できる大学を調べてオープンキャンパスに参加していました。その中の一つが東京工科大学です。訪問前に学校をリサーチしたとき、友利幸之介准教授が生み出したアプリ・ADOC(エードック)の存在を知りました。これは作業療法士が患者さんとコミュニケーションをとりながら目標設定を手助けするアプリ。利用することで、患者さんが大切にしていることや必要な作業がどんどん明らかになっていきます。ADOCや、これを開発した友利准教授に感銘を受け、東京工科大学に関心を持つようになりました。2回ほどオープンキャンパスに参加して、駅から徒歩2分の好立地や国家試験合格率の高さを知り、明るくて温かい先輩方と触れ合い、大学の雰囲気や強みを理解して入学を決めました。
疾患のある方への面接、検査、目標立て 実践重視の授業で経験を積む日々
入学後は友利准教授の授業や、国家試験合格率の高さを実感するレベルの高い授業を受けています。医療系のテキストは分厚く、調べものをしたりレポートを作成したりと学校でも自宅でも勉強するため、重い荷物を毎日持ち運ばなければなりません。オープンキャンパスに参加したほかの学校は、最寄り駅からの移動も大変だったので、キャンパスが駅から近いありがたみを実感しています。
ほかにも入学して良かったことは、疾患を抱える方や医療現場の先生方と接する機会が豊富なことです。例えば「身体機能評価学」や「精神機能評価学演習」といった授業では、身体的疾患や精神的疾患のある方に学生が面接や検査をし、評価を行います。2年次には、麻痺など身体的疾患を持つ方が、3年次には精神的疾患を持つ方が対象となります。こうした機会が2週に1度、2か月間続きます。
ケアの仕方は一人ひとり異なるため、疾患を持つ方と接する授業は「役立っているな」と感じる一方、「難しいな」「思う通りにいかないな」とも感じます。目標立てのために4回面接をする場合、1回目の面接ではこんなことを聞こう、そして2回目にはこんなことを尋ねよう、とイメージして臨みますが、その通りに事が運ぶことはなかなかないですし、情報を集めようと質問しすぎると相手の方に負担をかけてしまいます。言いたくないこと、聞かれたくないこともあるはずで、疾患を持つ方との距離のとり方には毎回苦慮しています。
そういえば先日、精神的疾患を持つ方と面接をする際にADOCを使いました。当事者の方が「自分にとってどんな活動が大切なのか」を他人に伝えることはすごく難しいのですが、ADOCではイラストを選びながら希望を引き出すことができ、少しずつ当事者の方が心を開いてくださいました。学生がADOCを使う機会はあまりないので良い経験になりましたね。
たくさんの子どもの笑顔が見たい 専門分野に選んだ小児ケア
3年次からはゼミが始まり、卒業研究に向けて学びを深めます。私が所属しているのは小児ケアのゼミです。最近は卒業研究のために子どものいる施設に出向いています。先日は、筋肉の収縮などにより体の動きに制限がある子どもたちと家庭用ゲーム機を使って遊びました。首から上しか動かせない子どもには視線入力装置を使って操作してもらうなど、「どうしたら子どもたちが楽しめるか」を事前に考えておいて現場で実践します。論文を読み込んでいくゼミがある一方で、私のゼミはどんどん現場に行き、そこでの体験から卒論でどんなことをテーマにするか考えるというスタイル。子どもと接したり、子どもの笑顔を見られるので、このゼミを選択して良かったです。
臨床実習に向けて仲間と実技練習! 東京工科大学にはさまざまな実習先がある
今一番頑張っていることは、臨床実習に向けた実技練習です。私は大学からほど近い神奈川の総合病院で実習に臨みます。みんな違う場所で7週間実習を受けます。東京工科大学には附属病院がありませんが、その分、いろいろな現場で実習を受けることができます。実習先は固定されておらず、実習のたびに学生一人ひとりに適した病院へ配属されます。今回私がお世話になる病院も今年から加わった新たな実習先なんですよ。また、普段の授業にもたくさんの外部講師の方が来学し、各現場のお話を聞かせてくださいます。
医療職を目指すなら覚えることがいっぱい 必要なのはコツコツ学ぶ姿勢
振り返ると「入学してからずっと勉強しているな」と感じます。だからこそ、設備の良さや勉強に集中できる環境は大事。検査の練習など、家ではできないことも多いのですが、私の周りには自主練のために学校に残る熱心な学生がたくさんいるので、一緒に勉強したり、アドバイスし合ったりできます。
医療の学びは覚えなければいけないことがたくさんあります。だからコツコツやらないと頭がパンクしてしまう。私は暗記が苦手なので、なおさら日々やっておかないと大変なことになります。学び続ける日々は、入学後も、そして大学卒業後も続きます。医療職は一生勉強し続ける仕事だと思うからです。ですから、受験生の皆さんにアドバイスするなら、医療職を目指すのであれば、地道に勉強を続ける心構えが必要だということです。
作業療法士は患者さんの一生に関わり、その方が望む生活が送れるように支援する、とてもやり甲斐のある職業。好きな活動ができるようになり、患者さんが“なりたい自分”になるためのサポートができるように頑張っていきたいです。

医療保健学部専用棟(12号館)にあるADL室。バリアフリー設計の浴室やトイレ、キッチンが設置され、障がいを持つ方に必要な作業療法を実践できます

ADL室に置かれたベッド。意思伝達装置も設置されています。「ADL室では、テスト前や実習前に仲間と実技練習をしています」(井上さん)

「機能評価で利用する道具が置かれているので、自主練習のためによく利用する部屋です。また、授業の後、友達とこの部屋でおしゃべりすることもあります」(井上さん)

「みんなで一緒に利用することがあります。結構安いですね。好きなメニューはつけ麺です」(井上さん)
学校情報
蒲田キャンパス
住所 | 〒144-8535 東京都大田区西蒲田5-23-22 |
---|---|
電話 | 0120-444-925(広報課) |
アクセス情報 | JR京浜東北線・東急池上線・東急多摩川線「蒲田」駅西口より徒歩2分 |
東京情報大学
2017年に看護学部が新設された東京情報大学では、AIやIoTといったテクノロジーによってあらゆるものがつながる新時代に必要とされる人材の育成を目指しています。情報化社会にふさわしいITスキルと同時に、情報で患者と医療現場をつなぐ地域包括ケアを身につけた在校生からお話をうかがいました。


看護を学びながら国体にも出場 大学の特色を活かして学ぶ未来の看護プログラム
看護学部看護学科3年 小林 璃菜 先輩
小学生から続けてきたバドミントン 入学動機は最新の教育環境とスポーツの両立
家族が入院した際に、看護師が優しく看護してくれる様子を見たり、お母さんが訪問看護の仕事に就いていたりしたことがきっかけになって、小学生の頃からずっと看護職に憧れを持ち続けてきました。高2・高3で両親とオープンキャンパスに参加し、授業見学や個別相談を行いましたが、そこで「大学でもバドミントンを続けられる」と背中を押してもらえたことが最終的な決め手となりました。
設立されて間もない学部だったので、ピカピカの看護実習棟は清潔感にあふれており、最新の設備が整っていることにとても満足したと同時に安心して学び続けることができました。地元の大学にも合格していたのですが、親元を離れて一人暮らしでの自立した生活をしてみたいという気持ちもあったので、私にとってはベストな選択だと思っています。
併設学部との連携が大きなメリットを創出 授業の現場で実感した施設設備の重要性
進学先を調べていた当時は、東京情報大学のように充実した最新設備で地域医療連携ネットワークなどを学べる学校はありませんでした。電子カルテの利用や遠隔看護が当たり前になってきた時代だからこそ、併設する総合情報学部の環境を活かしてICTスキルを磨くことが大切ですから、将来にわたって学ぶ価値のある教育プログラムに大きな魅力を感じています。教科書のほとんどは電子化されたテキストを使うので、タブレットを持参すれば重い荷物も必要ないですよ。
私が入学した2020年はコロナ元年と言えるような社会状況で、オンラインと対面での授業は実施できていましたが、2年間は病院実習ができませんでした。だからといって手を抜くことなく、将来のために多くの課題に取り組んでいるため、息を抜く暇も無いほど大忙しの毎日です。もしかしたら、早期から無線LANやタブレットを導入していたこの大学だからこそ、それほど不便を感じていないのかもしれませんね。
架空の患者さんを想定し、病状から客観的な分析をしたうえで看護のロールプレイを進める「看護過程の展開」授業がとてもためになりました。これからの病院実習を前にして、学ぶべきことがたくさん待ち受けています。
やりたいことや夢はたくさんあっても良い! 看護学部から広がる卒業後の選択肢
10年以上続けてきたバドミントンで、ついに国体へ出場することになりました。進学するからといって、長年の「上位入賞」という目標を諦める気はなかったので、東京情報大学を選んだと言っても過言ではありません。部活動のおかげで学校生活にもメリハリがあり、頑張ろうというモチベーションにも直結しています。自然に恵まれたキャンパス内で座学に集中し、タブレットを最大限に活用しながら自力で作った空き時間を練習に費やすことができる学校です。国家試験のためだけに看護を学ぶのでしたら全国どこでも可能ですが、勉強面以外に注目すれば進学先を決めるのが容易になるでしょう。
意外に思われるかもしれませんが、卒業後は看護師の道に限定されるわけではありません。私は3つの夢があり、1つ目は小児科や新生児集中治療室で子どもに携わりながら認定看護師資格にチャレンジするというもの、2つ目は看護師長として後輩を育てつつ看護全体の質を上げるというもの、3つ目は助産師の学校に進学するというものです。卒業後の仕事を1つに絞り込むのは悪いことではありませんが、視野を広げた方が勉強の意義を感じることができるはずです。私のように、将来の夢はいくつあっても良いのですから、進学後も努力を継続する気持ちを忘れないでください。
看護学部を目指す未来の後輩に伝えたい 入試本番に備えた受験勉強のポイント
看護学部で学ぶためには、患者さんへの思いやりの心はもちろんですが、理系科目の中で「私はこれが得意」と自慢できるものを伸ばしておきましょう。私の場合は、生物に興味があって得意分野になり、今でも授業に活かされています。あなたにも1つ得意な科目があればチャンスは広がります。
何よりも大切なことは、周りの意見に流されず自分自身が正しいと考えて選んだ道、明るい未来を信じて一生懸命に突き進んでください。私と同じ気持ちを持って入学する皆さんを心待ちにしています。

看護師が働く現場を想定した病棟・病院仕様の実習室、住まい・公民館仕様の実習室を設置し、実践的な学習が行われています。このほか、建物内には無線LANやシミュレーション教材、多目的実習室も整備されています

看護にも体力づくりは必要!さまざまな部活動・サークルが利用する体育館に併設しており、自主的なトレーニングの要として活用されます

キャンパスの中心に位置する人気のファーストフード店では、サンドイッチなどヘルシーなランチのテイクアウトが可能です

広々としたピロティでの自習学習やグループ学習用に使用されるスペースで、ここでランチを楽しむこともできます

学校情報
住所 | 〒265-8501 千葉県千葉市若葉区御成台4-1 |
---|---|
電話 | 043-236-1408(入試・広報課) |
アクセス情報 | JR「千葉」駅より直通ノンストップ通学バス25分、千葉都市モノレール「千城台」駅よりバス7分 |
人間総合科学大学
早稲田医療学園を母体とする人間総合科学大学は、日本初の通信制私立大学として2000年に創設されました。その後、通学生のコースは2005年より始まり、2011年に保健医療学部看護学科、リハビリテーション学科(理学療法学専攻・義肢装具学専攻)を設置。人々の健康と幸福を支援し、医療現場で即戦力となる人材の育成を目指しています。この大学の看護学科で学ぶ先輩に、受験のきっかけや大学での学びの内容、後輩へのメッセージなどを聞かせていただきました。

深い知識と高度な技術を身につけ「あなたがいて良かった」といわれる医療者に
保健医療学部看護学科3年 高橋 凌介 先輩
受験の時期が早いので合格後の時間を有効に使える
医療職を進路として選んだのは、以前入院したときにお世話になった看護師の方に憧れを持ったことがきっかけです。
そしてこの大学を志望したのは、受験の時期が早かったことが一番の理由です。「総合型選抜」で受験すれば試験は9月下旬または10月上旬にあり、合格発表は11月。「学校推薦型選抜」であれば試験は11月中で、合格発表が12月または1月です。合格してから高校卒業までの期間が長く、部活動に打ち込んだり、大学から学び始める新たな分野の学習に向けて準備したりする時間に充てられると考えたからです。
学生主体のグループ学習でコミュニケーション能力も高まる
看護学科では「広く深い知識と高度な技術を持つ専門家の育成」を目指しています。そして、患者さんや医療技術者などさまざまな立場の人と連携・協働できる「コミュニケーション能力」を養うことや、「チーム医療」の担い手の育成に主眼を置いたカリキュラムが特徴だと思います。そのため、1年次には看護の基礎や人間の心身を理解するような授業が中心でしたが、2年次からは人体の機能、病態や治療などを学ぶ専門科目に加え、保健医療チームの一員としてのあり方など、社会的な側面についても学習する機会が増えます。さらに3年次には「保健医療福祉専門職連携論」が必修となり、他の職種と連携する「チーム医療」について、より深く学習していくことになります。
また、看護の専門科目以外に、看護研究や保健統計学など特色のある科目も多いです。人間の「こころ」と「からだ」の関わりを学ぶ「心身健康科学概論」は、他の大学にはないユニークな科目だと思います。
実習が1年次から行われ、豊富な経験を積めるのも、看護学科の良さではないでしょうか。「基礎看護学実習Ⅰ」では患者さんの生活や健康について知り、看護職の役割について学習しました。患者さんとどのようにコミュニケーションを取ったら良いかや、治療効果を向上させるためにどのような援助ができるかを学びました。3年次の9月から4年次にかけては分野別の看護学実習も始まります。どのような学びが得られるか、今から楽しみです。臨地実習では、教室や実習室で得られる経験とは桁違いの経験値が得られます。それと同時に、看護師になるための自覚や意識をもっと高めていかなくてはいけないという気持ちも強くなりました。
その他、これまでに受けた授業で印象に残っているのは、学生間で患者役や看護師役に分かれて状況再現をしたロールプレイングの授業です。シナリオ作りから行い、骨の折れる作業でした。でも、患者さん、看護師それぞれの気持ちが分かり、良い経験になったと感じます。このように、学生主体で取り組む演習も多いです。講義以外の時間にもグループ学習の機会が多く設けられていて、国家試験の対策もグループで協力して取り組みます。
男子学生が全体の1割 先生との距離も近く過ごしやすい
この学校ならではだと思うのは、男子学生が多いことです。看護学科は女子学生がほとんどという大学が多いですが、看護学科の3年は男子学生が全体の10%以上を占めるので心強いです。明るい学生が多く個性豊かで、切磋琢磨しながら学業に励んでいます。それに、先生と学生の心理的な距離も近いと思います。学習面や生活面の悩みを先生方に相談している学生を、学内でよく見かけます。就職指導も入学直後から始まり、1年次に「職業とキャリア形成」という科目を受講しました。就職支援は充実していると感じます
学校の様子を知りたいときはぜひ、オープンキャンパスに参加してみてください。学生たちが一丸となって準備や当日の運営に臨んでいるのが分かり、先輩から協働の精神が脈々と受け継がれていることを感じてもらえると思います。
キャンプサークルの設立を準備 学生生活を充実させるために奮闘中
新型コロナ禍で以前と比べて対面講義が半分になり、オンライン講義と並行して学習しています。学校に行く機会が減っているのは残念ですが、学業だけでなく大学生活全般を楽しみたいです。現在はキャンプサークルの設立に向けた準備をしていて、状況が落ち着いたら活動を開始したいです。ほかにも、ユニセフ活動への支援を続けています。このような時期なので活発に活動することはできないのですが、毎月一定額の募金をしています。
看護学科はさいたま市の岩槻キャンパスにあり、リハビリテーション学科の学生とともに学んでいます。最新の設備が整い、屋上には運動広場があったり、ウッドテラスがあったりと、学生の憩いの場もふんだんに用意されています。私の学内のお気に入りスポットは自習ができる図書館や、学生が利用できるパソコン室、学習スペース。空いた時間に講義内で出された課題やレポート作成するために、よく利用しています。
揺るぎない目標を定め志望校を選ぶことが大切
自分の受験生時代のことを振り返ると、思い切り部活動に打ち込んでいたことを思い出します。同時に受験対策も行っていたため、忙しい毎日を送っていました。しかし、強い意志があったから合格することができたのかなと思います。
これから受験をする皆さんにアドバイスできるとしたら、なぜこの大学を志望するのかという根拠をしっかり根底に持って、志望校を決定することが大切だと思います。そうすることでくじけそうなときに初心に立ち返り、自らを再び奮い立たせることができるからです。
私は将来、より多くの人々に「あなたがいて良かった」と思われるような医療従事者になりたいと思っています。世の中は大変な状況ではありますが、受験生の皆さんはこのコロナ禍を良い経験として吸収し、「将来の仕事に活かそう」くらいの気持ちを持っていただけたらと思います。ともに強く歩んでいきましょう。

看護学科の授業で、病室での患者さんの対応を学習します。実際と同じつくりになっているので、現場に出たときには即戦力となれるような学びが得られます

畳の部屋やバス・トイレなどもあり、高齢者の家を想定しています。今後ますます必要とされる在宅ケアの技術をしっかりと身につけることができます

各フロアには休憩や自習に利用できる学生ラウンジがあります。壁には美術作品が展示され、アートに触れながらリフレッシュすることができます

常時インターネットに接続している最新のPCが設置されています。調べものをするときやレポート作成するときなどにとても便利です
学校情報
岩槻キャンパス
住所 | 〒339-8555 埼玉県さいたま市岩槻区太田字新正寺曲輪354-3 |
---|---|
電話 | 048-758-7111(看護学科、リハビリテーション学科) |
アクセス情報 | 東武野田線「岩槻」駅よりバス4分もしくは徒歩14分 |
了德寺大学
「日本固有の美や和の精神を継承し、この国と国民が、新たな価値を生み出すために、未来を拓く若人に、美しい環境と真摯に学ぶ場を提供する」を理念に、2006年に開学した了德寺大学。健康科学部内に看護学科、理学療法学科、整復医療・トレーナー学科の3つを置く医療系大学として、資格取得に重きをおいた実学志向の教育を実践しています。ここで看護師を目指して学ぶ先輩に、この学校を選んだ理由や大学生活のこと、将来の目標などを聞かせていただきました。


芸術科目やボランティアで豊かな感性を養い患者さんの心のよりどころとなる看護師に
健康科学部看護学科4年 飯田 萌花 先輩
やりがいを持って働く母の姿に憧れ看護師の仕事に興味を持つように
私が看護師を目指すようになったのは、小学生の頃です。看護師である母が患者さんに優しく声をかけている姿や、たくさんの人から頼りにされている姿を見て、かっこいいなと思ったからです。また、母に日頃どのような仕事をしているのか尋ねると、いつも楽しそうに話をしてくれます。命と向き合う現場だから大変なはずなのに、それ以上にやりがいを感じているからだと思います。「私も母のように人の役に立ちたい」という気持ちが強くなり、看護師という職業に興味を持つようになっていきました。
看護師を目指すことができる大学はたくさんありますが、私が了德寺大学を選んだのには理由があります。看護師は患者さんの回復に関わる大きな存在です。ですから、私は患者さんやその家族の不安や希望、思いをくみ取り、心のよりどころとなる場所を提供できる看護師になりたいと考えています。了德寺大学は看護の知識や技術だけでなく、人間教育にも力を入れています。看護師としての知識はもちろん、人間関係やコミュニケーション能力、芸術科目についてなど、幅広く学べるこの大学でなら心を豊かにすることができ、私の理想とする看護師像に近づくことができるのではないかと思っています。
先生との距離が近く充実した学習環境 実習にも自信を持って臨める
この学校に入って良かったと感じる一番大きな点は、先生と学生の距離が近く、困ったことがあれば親身になって対応してもらえることです。講義で分からないところがあればすぐに聞くことができ、分かるまで丁寧に指導していただけます。そのおかげで、実習にも自信を持って臨むことができています
そして、今私が力を入れて取り組んでいるのがこの実習の時間です。人の体は思っていた以上に複雑に機能していて、構造をきちんと理解していないとアセスメントができないということに気がつきました。それからは、実習前にこれまで学んできた人体の構造や生理学の教科書を見直しています。
ほかにも、楽しい授業やためになる授業はたくさんあります。「看護技術Ⅱ」では、看護の現場で使用される専門的な技術を身につけます。自分が実際に患者さんをケアするときのことを想像すると、私にできるのか心配になったり、怖いなと感じたりすることがあります。しかしその反面、看護学生の仲間入りができ、夢に一歩一歩近づいていることが実感できるのでやりがいもあります。
一方で、講義内容が難しく、きちんと理解できているのか不安に感じることもあります。「疾病・治療Ⅱ(内科系)」では、病気になるまでの過程は疾患によって異なり、患者さんの生活様式によっても違うことを学びました。患者さん一人ひとりの背景まですべてを知ったうえで、原因を探っていかなくてはならないので、学ぶことが多く戸惑いました。ただ、この講義を受けたことで、さらに勉強を頑張らなくてはいけないと気が引き締まりました。
芸術科目も学べる魅力的なカリキュラム 感性を養い質の高い看護を実践
了德寺大学はほかの大学にはないカリキュラムがあり、魅力的な大学だと思います。その1つが、看護だけでなく芸術科目を学ぶことができるところです。このカリキュラムは、人の心を感動させる芸術の学術的側面に接することで人間を深く多面的に理解し、医療者に求められている、患者さん中心の医療・看護を実践することができる人間性を養うことを目的にしています。私も質の高い看護を提供するためには感性が豊かであることや、倫理観を養うことはとても大切なことだと思っています。
そしてこの大学の学生たちは、とにかく元気!大学には私の姉もいたので入学前からその姿を見てきましたが、勉強も友だちと協力して取り組むなど仲も良いと思います。実際に入学してみて、私も良い友人に囲まれていると感じます。グループワークや実習に行くメンバーは授業ごとに違うのでたくさんの仲間と関わる機会があるのですが、みんな明るくて親切。さまざまな出会いがある毎日はとても楽しいです。
大学は施設も充実しています。私のお気に入りスポットは、大学の正面玄関を出てすぐのベンチです。天気が良い日は、このベンチに座って友達と外でお昼ご飯を食べることも。海が近く周りにはヤシの木もあって、気分がリフレッシュできます。
災害医療など幅広い知識を習得し患者さんとその家族に寄り添っていきたい
病院には不安や恐怖、希望や絶望などさまざまな感情を持つ、たくさんの患者さんやそのご家族がいらっしゃいます。私はその気持ちにいち早く気づき、患者さんにとって弱音を吐ける場所、そして前向きに治療に進めるような関わりができる看護師になりたいと思っています。また、災害医療にも興味があるので、DMAT(災害医療派遣チーム)の一員になれるよう、さらに勉強していきたいと考えています。
受験生の皆さんは今、どのような気持ちで過ごしていらっしゃるでしょうか。私はオープンキャンパスに参加したとき、緊張のあまり何を聞いたら良いかも分からないほどでした。でも、学生スタッフの方がたくさん話をしてくれて、心が落ち着いたことを覚えています。高校時代は部活動中心の生活だったのですがこのときに目標が決まり、それからは毎日机にかじりついて勉強しました。皆さんも目標を定め、その達成に向けて歩みを進めてください。
看護の勉強は、スタートラインが同じです。難しい勉強も大変な実習も一緒に乗り越え、支え合える友人がたくさんできます。また、了德寺大学の先生方は、一人ひとりをきめ細かに指導してくださいます。入学すればきっとこの大学で良かったと感じることができ、充実した大学生活を過ごせると思います。夢の実現に向けて一緒に頑張りましょう。

救命処置や酸素療法に必要な物品が揃い、急性期の患者様の援助方法などを学ぶことができます

療養生活を安全で、安楽に送れるように援助するための看護技術や、医療行為を行ううえで必要な専門的技術を学ぶ実習室です

全面ガラス張りの学食からは東京湾が一望でき、海を眺めながらのランチタイムを堪能できます

医学関連、芸術関連の図書が充実した専門性の高い図書館です

大学で1番大きい講義室で、300座席あります。教養科目や学科での授業の際に使用します
学校情報
住所 | 〒279-8567 千葉県浦安市明海5丁目8-1 |
---|---|
電話 | 047-382-2111(入試本部事務局) |
アクセス情報 | JR京葉線・武蔵野線「新浦安」駅より徒歩25分、東京ベイシティ交通バス6分~9分 |